書評:男性漂流(奥田祥子)

なんとなくは感じていだ生きにくい世の中。本書は男性側の生きにくさに焦点を合わせた、渾身のルポです。筆者はよく長期に渡り取材したと思います。頭が下がります。

世で現役で働く男性達が漂流している姿、社会から手が差し伸べられない彼らの生き様が丁寧に描かれています。「結婚できない男、仮面イクメン、介護シングル男子、男だって更年期、リストラ・非正規のバカヤロー 」とだれでも俺もそうかもと思いつくところが一つや二つあるように思います。

彼らの現実は明日の自分の現実かもしれません。本書では漂流する彼らの姿がリアルに描かれていますが、彼らは決して悲観すること無く、前を向いて進もうとしている様子が、描かれています。これは一つの救いになるのではないでしょうか。時に筆者は取材対象者と共に悩み、逆に取材対象者の言葉に救われる様子もリアルに描かれています。

現在社会は男性だけではなく、女性にとっても生きにくい社会です。偽りの男女平等によって、男性女性が断絶されてきている中、本書は男性のみならず、多くの女性にも読んでいただけたらと思える書籍です。いつか、真の男女平等な世の中が実現するまで、僕らはそれでも今日を生き抜かなければならないのです。

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